2010年11月29日月曜日

2010年11月29日

少し前にカンブリア宮殿に宝島社の社長が出ていて、電子書籍について「取次や書店といった流通~プロモーションのためのすばらしい仕組みがあるわけだし、書店の人、流通の人などを裏切る行為なので今のところはやらない」というような事を言っていたのが印象的だった。

実際、書店網というのはすごいプロモーション力のある場だと思うし、また、個人的に(本ではなく音楽方面だけど)「対面で販売できるデジタルデータ」というのは何かいい手段がないものかということをここのところよく考えていたので、ちょっと思考実験的に「書店で売る電子書籍」というのを考えてみる。

多分、電子ペーパーと無線通信モジュール的なもののコストがぐっと下がりつつ品質がぐっと上がれば、結構人に優しい面白い仕組みが作れそうな気がする。

たとえば、本屋の棚にひたすら大量の電子ペーパーを並べる。それぞれがひとつの種類の雑誌/本の表紙をデフォルトで表示する。手にとって操作すれば中身を好きなように立ち読みできる。
また、どうしてもほかの書籍が読みたい場合は電子ペーパー上で検索などして別のものに切り替えることもできる。棚に戻すともとの雑誌/本に戻る

その電子ペーパーは、店外に持ち出すと一切機能しなくなる。
外で読みたい場合はレジで購入して、自分の持つ端末にDLするか、もしくは手持ちがなくてすぐ読みたい場合は店頭にあるレンタル端末を借りてそこにDLして読む(購入したものは個人のアカウントに紐づけられるので、別の端末でもログインすればDLして読める)

店頭の各電子ペーパーに表示するものは、店主が自分のセンスで決める。また、雑誌などは自動で最新号に切り替わる。

みたいな。同様の仕組みが図書館なんかでも使える。流通の部分は綺麗さっぱりなくなるのだけど、今の書店というインフラや環境のもつよさをできるだけそのまま移行しつつ、万引きの問題や本の整理などの手間を最小限にするという点である意味面白い、かもしれない。いやわからない。

2010年11月27日土曜日

2010年11月27日

googleの音楽サービスがレーベルの消極姿勢により立ち上がり遅れてるというのを見て急に脳裏にふと湧いてきたのでメモ。

コンテンツ販売で一番リスクを負ってるのは当然作ってる側つまりレーベル側。
Amazonのような小売りマインドのあるところはともかくとして、iTSのような単に場を提供しているだけに近いプラットホームの場合は、本来はレーベルが出店を出しているようなもの。とすれば、なぜあそこまで価格が統一される必要があるのか相当に謎。レーベルが自由に価格を設定して工夫する余地が多くないとレーベル側も戦略を練ったりデータを集めたり経験値を集めづらいはずなのだけど。また、たとえばあえて単価を高くするとか、妙に安くするとか、そういった戦略がとりづらく、売れ行きに対して価格のコントロールが硬直化されているというのは、本来得られるはずだった利益を逃しやすい構造な気がする。

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あと、価格が全てのコンテンツにわたってほぼ同じである場合、売る側の取るべき行為は「とにもかくにもできるだけたくさん売る」ことなので、そうすると、できる限り広く一般ウケする音楽こそ正義ということになる。ので、まあ、一部には熱狂的に愛されるようなニッチなものや、挑戦的なコンテンツが非常に作りづらくなり、文化としては停滞しやすいし、あとは楽曲の質などよりもわかりやすい価値を持つアイドルであったり、半ばポルノ的なコンテンツのほうが主流になりやすい。かもしれない。